日本原産の明日葉は、生命力が強く豊富な栄養素を含んでいることから、古くより不老長壽の妙薬とされていました。研究により、明日葉特有のフラボノイドであるカルコンには血糖値を下げたり、肥満を抑制したりする効果があることが証明されています。
【譯文:日本原產的明日葉,因其生命力強盛,含有豐富的營養素,自古就被認為是長生不老的妙藥。研究表明,明日葉特有的類黃酮——查耳酮是降低血糖值,或抑制肥胖的效果被有效證明。】
明日葉(あしたば)の健康効果(明日葉/明天葉的健康功效)
- 動脈硬化を予防する効果(預防動脈硬化的效果)
- 高血圧を予防する効果(預防高血壓的效果)
- 糖尿病を予防する効果(預防糖尿病的效果)
- 免疫力を高める効果(增強免疫力的效果)
- 便秘を解消する効果(解除便秘的效果)
- 美肌効果(美肌效果)
- 骨粗しょう症を予防する効果(預防骨質酥鬆症的效果)
- 認知症を改善する効果(改善認知症的效果)
- むくみを改善する効果(改善浮腫的效果)
明日葉(あしたば)とは?(明日葉/明天葉是什麼?)
●基本情報
明日葉はセリ科の植物です。若葉を摘んでも明日にはまた伸びている(実際には4~5日要する)といわれる程成長が早く、生命力が強いことから、明日葉という名前が付けられました。その生命力の強さから、古くから不老長壽の妙薬とされていました。また、中國では薬用として、枯れる前に掘り起こした明日葉の根っこを朝鮮人參の代わりとして利用しています。
明日葉は數少ない日本原産の野菜のひとつで、葉と莖を食用とします。セリ科特有の香りとほのかな苦味が特徴です。
その獨特の風味を生かして、鍋物やおひたし、天ぷらなど様々な料理に使用されます。
明日葉は房総半島から紀伊半島と伊豆諸島の太平洋側などの暖かい地域に自生しています。
寒さに弱い野菜ですが、近年では品種改良が盛んに行われ、寒い地域でも育つ明日葉が開発されています。
●明日葉の旬
明日葉は四季を通じて収穫できますが、新芽を出す2月~4月が旬といわれています。
●明日葉の選び方と保存方法
明日葉の葉が鮮やかな緑色をしていて、みずみずしいものを選びます。莖は細めのものが柔らかく美味しい明日葉です。
濕らせた新聞紙に包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。
下茹でして水にさらすと獨特のにおいとアクがぬけて食べやすくなります。茹ですぎると明日葉に含まれるビタミンCなどの栄養素が抜けてしまうため注意が必要です。
●明日葉に含まれる成分
明日葉には、β-カロテンやビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEをはじめ、カルシウムやカリウム、鉄などのミネラル類や食物繊維など、優れた働きを持つ栄養素が豊富に含まれています。
明日葉はビタミンB₁₂以外のほぼ全てのビタミンB群を含んでいます。中でも細胞の再生に関わり、健康な皮膚や爪をつくるために欠かせないビタミンB₂が特に多く含まれています。
β-カロテンは體の中で必要な分のみビタミンAに変換されるため、過剰症の心配がなく安心して摂取することができます。
明日葉の葉や莖を切ったときに出てくる淡い黃色の汁には、明日葉特有のポリフェノールの一種であるフラボノイドのカルコンやクマリンが豊富に含まれています。カルコンは非常に強い抗酸化力[※1]を持つだけでなく、動脈硬化の予防や糖尿病の予防など、様々な有効性が認められています。
また、明日葉に含まれるルテオリンは利尿剤としてよく知られています。この利尿作用により、むくみが改善されます。
[※1:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]
明日葉(あしたば)の効果(明日葉/明天葉的功效與作用)
明日葉には、β-カロテンやビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEをはじめ、カルシウムやカリウム、鉄などのミネラル類や食物繊維、フラボノイドの一種であるカルコンやクマリン、ルテオリンなどの有効成分が豊富に含まれているため、以下のような効果が期待されます。
●動脈硬化を予防する効果(預防動脈硬化的功效與作用)
肥満はあらゆる病気の原因であるといわれています。 內臓脂肪が蓄積し內臓肥満になると、アディポサイトカイン[※2]が分泌異常を起こし、高血糖や高血圧を併発するリスクが高まります。 明日葉特有のフラボノイドであるカルコンには、內臓脂肪を減少させる働きがあることがマウスを使用した実験により証明されています。 カルコンには、內臓脂肪を減少させることにより善玉ホルモンであるアディポネクチン[※3]の分泌を活発にする働きがあります。アディポネクチンはインスリン感受性[※4]の亢進や動脈硬化の抑制、抗炎症など様々な働きを持っていることから、カルコンの摂取は血中コレステロールの減少につながると考えられています。血中のコレステロールを減少させることにより、動脈硬化のリスクが低下します。 また、日常生活で體內に発生する活性酸素[※5]は、血中の脂質を酸化させるため動脈硬化の原因となります。明日葉に含まれるβ-カロテンやカルコンには強い抗酸化作用があり、血中の脂肪の酸化を防ぎ血管を若々しく保ってくれるため、動脈硬化の予防に効果を発揮するといわれています。
●高血圧を予防する効果(預防高血壓的功效與作用)
食塩の過剰な摂取などによりナトリウムが血中に多く存在すると、體內で水分の移動が正常に行われなくなり、高血圧を招いてしまいます。明日葉に含まれるカリウムには、余分なナトリウムを體外に排出する働きがあるため、血圧を下げ高血圧を予防する効果が期待できます。
また、明日葉特有のフラボノイドであるカルコンには內臓脂肪を減少させる働きがあるため、善玉ホルモンであるアディポネクチンの分泌が活発になります。アディポネクチンが正常に働くことにより、インスリン感受性が改善されます。この働きにより、高血圧を予防する効果が期待されます。
●糖尿病を予防する効果(預防糖尿病的功效與作用)
明日葉に含まれるカルコンには內臓脂肪を減少させるほか、前駆脂肪細胞[※6]から成熟脂肪細胞[※7]への分化を誘導する働きがあることが確認されています。この働きにより、善玉ホルモンであるアディポネクチンの分泌が活発になり、インスリン感受性を亢進させインスリンの働きを正常にします。
また、明日葉に含まれる成分が體內でインスリンと同じ作用をすることが実験により証明されています。
さらに、明日葉のカルコンには成熟脂肪細胞におけるグルコースの取り込みを促進し、血糖値を下げる働きがあることも確認されています。
これらの働きにより、明日葉に豊富に含まれるカルコンには糖尿病の改善に効果があると期待され、これを実証するため、糖尿病を自然発症するマウスと明日葉由來のカルコンを使っての実験が行われました。その結果、カルコンの血糖値の上昇を抑える作用が認められ、糖尿病の症狀のひとつである多飲症狀の改善もみられました。【3】
●免疫力を高める効果(增強提高免疫力的功效與作用)
明日葉に含まれるβ-カロテンから変換されたビタミンAには、皮膚やのどなどの粘膜を正常に保つ働きがあります。さらに明日葉に含まれているビタミンCやビタミンEには、免疫力を高めてくれる働きがあるため、明日葉は口內炎や風邪の予防に効果的であるといわれています。
●便秘を解消する効果(解除便秘的功效與作用)
明日葉には良質な食物繊維に加え、自律神経[※8]を調節し、ぜん動運動[※9]を促進してくれる働きがあるビタミンB₁、食物繊維の働きを高めてくれるビタミンCが含まれているため、便秘の解消に効果があると期待されています。
●美肌効果(美容肌膚的功效與作用)
明日葉にはβ-カロテンが豊富に含まれています。
β-カロテンから変換されたビタミンAには皮膚や粘膜を丈夫に保ってくれる働きがあるため、肌のカサつきや肌荒れを改善する効果があると期待されています。
β-カロテンには紫外線によって発生した活性酸素を無効化する働きがあり、メラニン色素の発生を抑制する効果があります。
他にも、明日葉には若返りのビタミンと呼ばれているビタミンEが含まれています。さらに、豊富に含まれるビタミンCがコラーゲンの生成を促進し肌のハリを保つことにより、シワの予防や改善にも役立ちます。
様々な栄養素の相乗効果により、明日葉には美肌に導く効果があるとされています。
●骨粗しょう症を予防する効果(預防骨質酥鬆症的功效與作用)
現在、日本では約780~1100萬人の骨粗しょう症患者がいるといわれています。
健康な骨の場合、新しい骨の形成と古くなった骨の分解がバランス良く行われています。このバランスが様々な原因で崩れ、骨の分解が骨の形成を上回った時に骨粗しょう症となり、ちょっとしたはずみで骨折などのけがをしやすくなります。
骨の形成は骨芽細胞で行われています。骨形成たんぱく質-2(BMP-2)は、骨髄中に存在する未分化細胞[※10]に働きかけ骨芽細胞への分化を促進するたんぱく質です。明日葉を摂取することにより、BMP-2の産生を促進する作用があることが実験により確認されています。
そのため、明日葉には骨粗しょう症を予防する効果があるとされています。
●認知症を改善する効果(改善認知症的功效與作用)
明日葉には、神経成長因子の産生を促す働きがあることが証明されています。神経成長因子が増加することにより、神経細胞の分化の促進や神経細胞の維持、脳神経の損傷の修復、脳が老化した際に神経細胞の機能を回復するといった働きが期待できます。そのため、アルツハイマー型の認知症や糖尿病合併症などによる末梢神経障害の予防や治療に効果があると考えられます。
●むくみを改善する効果(改善浮腫的功效與作用)
明日葉に含まれるクマリンとルテオリンには利尿作用があるとしてよく知られています。この働きにより、むくみが改善されます。
[※2:アディポサイトカインとは、脂肪細胞が分泌するホルモンの一種です。]
[※3:アディポネクチンとは、インスリン感受性の亢進や動脈硬化の抑制、抗炎症などの働きがある脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種です。]
[※4:インスリン感受性とは、インスリン作用に體內の組織が抵抗性を現す狀態のことです。インスリン感受性が低下すると、インスリン受容體がしっかりと働かないため細胞でのブドウ糖の吸収がうまくいかず、血糖値が低下しないという現象が起こります。]
[※5:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。體內で過剰に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]
[※6:前駆脂肪細胞とは、皮下脂肪や內臓脂肪から離された脂肪細胞の前駆細胞のことです。]
[※7:成熟脂肪細胞とは、中性脂肪を含んだ細胞のことです。この細胞から様々なホルモンが分泌されます。]
[※8:自律神経とは、無意識下で體全體を調整する神経です。]
[※9:ぜん動運動とは、腸に入ってきた食べ物を排泄するために、內容物を移動させる腸の運動です。]
[※10:未分化細胞とは、特定の細胞や組織への全能的な分化能力を持つ細胞です。]
明日葉は食事やサプリメントで摂取できます(明日葉的食用及攝取附錄)
- こんな方におすすめ(向這樣的人推薦)
- 動脈硬化を予防したい方(預防動脈硬化的人)
- 血圧が高い方(血壓高的人)
糖尿病を予防したい方(預防糖尿病的人) - 風邪をひきやすい方(容易感冒的人)
- 便秘でお悩みの方(有便秘煩難的人)
- 美肌を目指したい方(想要美麗肌膚的人)
- 骨粗しょう症を予防したい方(想預防骨質酥鬆症的人)
- 認知症を予防したい方(想預防老年痴呆的人)
- 手足のむくみでお悩みの方(手足浮腫的人)
明日葉(あしたば)の研究情報(研究論文文獻引用)
【1】 アシタバは、抗腫瘍、抗酸化、抗糖尿病活性を有する健康食品として最近注目されています。アシタバから抽出したキサンジェロールは、ヒトさい帯靜脈內皮細胞(HUVEC)のTNFα誘発プラスミノーゲン‐1(PA-1)の産生を抑制しました。このことから、アシタバは炎症時のPA-1を抑制することで抗凝集作用を有することが分かりました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22038782
【2】アシタバから抽出された6つのカルコンの成分をTNFα誘発によって炎症が引き起こされる骨肉腫細胞(MG‐63細胞)に添加すると、炎症が抑制されました。このことからアシタバは抗炎症作用を有することが分かりました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21547675
【3】糖尿病を発症した自然発症型Ⅱ型糖尿病マウスにアシタバから抽出したキサントアンゲロールと4-ヒドロキシデリシンを投與すると、重篤な糖尿病狀態になっているマウスの血糖値を低下させ,多飲水,肥満を抑制する治療効果があることがわかりました。このことからアシタバは糖尿病抑製作用を有することが考えられました。
參考文獻
・加藤郁之進、佐川裕章、榎 竜嗣、大野木宏 (2005) 「日本固有の健康野菜,『明日葉』に抗糖尿病機能」 月間『食の科學』.325:30-37.2005
・荻野善之 野菜まるごと大図鑑 主婦の友社
・本多京子 食の醫學館 小學館
・日本健康食品・サプリメント情報センター 編 健康食品・サプリメント(成分)のすべて 同文書院
・井上正子監修 新しい栄養學と食のきほん事典 西東社
・山崎徵治 病気を防ぐ野菜健康法 東京新聞出版局
・Ohkura N, Nakakuki Y, Taniguchi M, Kanai S, Nakayama A, Ohnishi K, Sakata T, Nohira T, Matsuda J, Baba K, Atsumi G. (2011) 「Xanthoangelols isolated from Angelica keiskei inhibit inflammatory-induced plasminogen activator inhibitor 1 (PAI-1) production.」 Biofactors. 2011 Nov-Dec;37(6):455-61. doi: 10.1002/biof.187. Epub 2011 Oct 28.
・Shin JE, Choi EJ, Jin Q, Jin HG, Woo ER. 「Chalcones isolated from Angelica keiskei and their inhibition of IL-6 production in TNF-α-stimulated MG-63 cell.」 Arch Pharm Res. 2011 Mar;34(3):437-42. Epub 2011 May 6.
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